【ハーメルンの笛吹き男】グリム童話は実話?130人もの子供失踪の真相や謎に迫る

ドイツに古くから伝わる「ハーメルンの笛吹き男」について紹介します。ハーメルンの笛吹き男はグリム童話にも取り上げられており、実話という見方もあるのです。ディズニー作品の題材にもなったハーメルンの笛吹き男の内容や真相を解説します。

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目次

  1. 1【ハーメルンの笛吹き男】の概要
  2. 2ハーメルンの笛吹き男とは
  3. 3ハーメルンの笛吹き男は実話?
  4. 4ハーメルンの笛吹き男の真相に迫る
  5. 5ハーメルンの笛吹き男の正体は謎のまま
  6. 6ハーメルンの笛吹き男の謎は時代を超えて語り継がれる

【ハーメルンの笛吹き男】の概要

古くからの伝承として「ハーメルンの笛吹き男」という話があります。名前は聞いたことがある、という人も多いかもしれませんが、どういった話なのでしょうか?実はハーメルンの笛吹き男というのは怖い話として取り上げられることもあり、真相に関しても様々な噂があります。

1284年にドイツで起きた子供集団失踪事件

ハーメルンの笛吹き男は1284年6月26日に起きた出来事についての伝承だと考えられています。1284年は日本でいうと鎌倉時代であり、鎌倉幕府8大執権の北条時宗が同年4月20日に亡くなっています。

そういった時期にドイツで子供集団失踪事件が起きました。事件の真相については様々な噂があるものの、はっきりとした部分は分かっていないようです。そういったことが関係して怖い話として語られることもある実話となっています。

130人もの子供が突然失踪の怖い話

ハーメルンの笛吹き男の概要は、1284年に130人もの子供が突然失踪したという怖い話なのです。ドイツにあるハーメルンの町でネズミが大繁殖し困っていたところ、笛を持った男が訪れたのだとか。男は「報酬と引き換えにネズミを退治する」と人々に持ちかけたそうです。

ハーメルンの人々は男に報酬を与えることを約束して、ネズミ退治を依頼しました。男は持っていた笛を吹き出すと、町中のネズミが集まってきたのだとか。男はそのまま川に向かうと、ネズミをすべて溺死させて退治しています。

無事、ネズミ退治が終わったのですが、町の人達は男に報酬を払う約束を守らなかったのだとか。怒った男は捨て台詞を吐いて町を去ったそうです。

そして、同年6月26日の朝(または昼)に男が再び町に訪れました。男が笛を吹きながら歩くと、家から子供たちが出てきてあとをついていったのだとか。その人数は男女合わせて130人で、町の外にある洞窟の中に連れ去られて二度と帰ってくることは無かったそうです。

ハーメルンの笛吹き男とは

実話とも言われるハーメルンの笛吹き男ですが、現在まで多くの作品の元ネタになっているとのこと。ディズニー映画や絵本、また怖い話にも使われることがあると言われています。そんなハーメルンの笛吹き男を題材にした作品を紹介していきましょう。

ディズニー映画やグリム童話の絵本でも有名

世界的に有名なディズニー作品。その中でディズニー映画でハーメルンの笛吹き男と思われる話が存在しています。また、グリム童話の絵本でもハーメルンの笛吹き男が取り上げられているので確認してみましょう。

絵本(グリム童話)『ハーメルンの笛吹き男』の元ネタ説も

グリム童話の絵本でもハーメルンの笛吹き男と思われる話が存在しています。グリム童話は『ヘンゼルとグレーテル』や『いばら姫』など、様々な有名な物語があり、世界的に人気があると言えるでしょう。

グリム童話はグリム兄弟によって記された絵本(昔話集)であり、人々から話を収集して作られています。グリム兄弟もハーメルンの笛吹き男の伝承を聞いて、それを絵本として残しているとのことです。

ディズニー短編映画『Pied Piper(ハーメルンの笛吹き男)』

ディズニー短編映として、は1933年9月16日に公開された『THE PIED PIPER』はハーメルンの笛吹き男が題材だと考えられています。この作品は『Silly Symphony』というディズニー短編アニメシリーズの1本となっています。

基本的な話はハーメルンの笛吹き男の筋書きと同じですが、最後に子供たちが連れ去られた先は、お菓子や遊園地がある楽しい世界という違いがあるのです。ディズニー映画らしい明るいオチになっており、実話の怖い話とは違った展開になっています。

現代では韓国映画『笛を吹く男』にも注目が

2015年に韓国で公開された映画『笛を吹く男』はハーメルンの笛吹き男を題材にした作品です。閉鎖的な村に立ち寄った旅人親子が事件に巻き込まれるというストーリーになっています。現代版ハーメルンの笛吹き男と言える作品かもしれません。

ハーメルンの笛吹き男は実話?

どこか怖い話と感じるかもしれないハーメルンの笛吹き男ですが、これは実話だと言えるのでしょうか?ハーメルンの笛吹き男が実話だと考えられている理由について紹介します。

絵本『ハーメルンの笛吹き男』のあらすじ

ディズニー作品にも使用されたハーメルンの笛吹き男。そんなハーメルンの笛吹き男の絵本版のあらすじを紹介します。

1284年にハーメルンの街ではネズミが大量発生していました。ネズミによって作物が荒らされていたため、街の人はとても困っていたのです。ある日、街に笛を持った男が現れて、報酬と引き換えにネズミを退治することを約束しました。

男が笛を吹くと街中のネズミが現れたのです。男についていくネズミたちは、そのまま川の中にまでついて行って溺れてしまいました。約束を果たした笛吹き男に対して、街の人は報酬を支払わなかったのです。

そのことに起こった笛吹き男は後日街に現れて、笛を吹き出しました。すると、今度は街中の子供たちが笛吹き男についていって、そのまま街から出ていってしまったのです。130人もの街の子供たちは、二度と戻ってくることはありませんでした。

教会のステンドグラスに記された謎

ハーメルンの笛吹き男はディズニー作品版や絵本版も、ネズミや子供が笛吹き男について行ってしまう、という共通点があるかもしれません。正体不明の男の不思議な力によって、ネズミも子供も自分の意思とは関係なく動いてしまった可能性があるでしょう。

ハーメルンの笛吹き男が実話だと言われている理由に、教会に遺されたステンドグラスが関係しています。残念ながら現在はステンドグラスは破壊されてしまっていますが、1660年まで存在したのだとか。教会のステンドグラスは、先ほど紹介した絵本のあらすじと同じような内容が記されていたそうです。

ステンドグラスには「1284年、聖ヨハネとパウロの記念日、6月の26日」という言葉から、ハーメルンの笛吹き男の話が記されていたという記録が残っているのだとか。1660年にステンドグラスが破壊されたということは、少なくともそれ以前からハーメルンの笛吹き男が存在していたと考えられるかもしれません。

130人もの子供が誘導され失踪という怖い話

ディズニー作品や絵本から分かることは、ハーメルンの笛吹き男は最後に子供を連れ去るという共通点です。ディズニー作品の場合は最後は幸せな世界に連れて行ってもらえていますが、拉致された事実は変わりません。

130人というと、一般的な小学校のクラスが20人から30人ほどと言われているので、学年まるごと、人数の少ないところでは小学校全体の子供が居なくなってしまうような現象と言えるでしょう。今も昔も子供は街の宝と言えるだけに、実話だとすれば非常に怖い話と言えるかもしれません。

ハーメルンの笛吹き男の真相に迫る

ハーメルンの笛吹き男の正体に迫る上で、少しずつ真相が見えてきたかもしれません。ハーメルンの笛吹き男の真相は、当時流行していたある病気が関係しているという説を紹介します。

130人の子供集団失踪事件で舞楽禁止の法律成立

ハーメルンの笛吹き男の実話の中において、子供を誘拐されたことから、「街で音楽や踊りが禁止された」というエピソードもあります。また、ハーメルン市では実話に基づいているのか、現在も「ブンゲローゼシュトラーセ」という通りでは、音楽や踊りが禁止されており、行事の際はここを使用しないそうです。

失踪した子供達の噂①ハンチントン舞踏病説

子供たちが失踪したハーメルンの笛吹き男の話ですが、様々な考察が行われています。例えば「ハンチントン舞踏病説」というものがあります。

ハンチントン舞踏病は「自分の意志ではなく、身体が勝手に動いてしまう病気」なのだとか。ハーメルンの笛吹き男の話では、子供たちが笛の音に従って踊りながらついていく様子が絵本でも確認できます。ただし、ハンチントン舞踏病は大人の発症率が高く、130人の子供全員がかかっていた、というのは疑問が残るでしょう。

失踪した子供達の噂②少年十字軍の拉致説

中世の西ヨーロッパカトリック教会は聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪回するために、「十字軍」という遠征軍を結成しました。全9回の十字軍遠征が行われたと考えられていますが、第4回十字軍遠征後に「少年十字軍」というものが結成されました。

神の啓示を受けた少年たちが最終的には数千人から2万人前後まで集まったのだとか。少年十字軍は戦うために聖地エルサレムを目指しましたが、悪い大人たちに騙されてアレクサンドリアに奴隷として売り飛ばされたと言われているのです。

この少年十字軍における拉致が「少年十字軍の拉致説」として、ハーメルンの笛吹き男と関係しているという見方があるとのこと。つまり、ハーメルンの笛吹き男は新兵を徴兵する上官や部隊を率いたリーダーという推測です。子供たちが戻ってくることが無かったというのは、奴隷にされてしまった可能性があるということなのでしょう。

失踪した子供達の噂③伝染病説

古くからハーメルンの笛吹き男の真相として語られているのが「伝染病説」です。次の説とも関係する話ですが、当時は黒死病(ペスト)がヨーロッパで大流行していました。

伝染病の多くは人から人へ感染し、感染爆発が起こるものが多いと考えられています。現代はもちろんですが、中世ヨーロッパの人々は伝染病を予防する方法がほとんどありませんでした。そのため、ハーメルンの笛吹き男は、伝染病にかかった子供を「隔離した」という見方があるのです。

失踪した子供達の噂④新天地を目指し街から出た説

先ほどの伝染病説と関係するのが、「新天地を目指して街から出た説」です。伝染病から逃れるために隔離ではなく、自分たちで新しい安全な場所へと向かった可能性があるのでしょう。また、当時のドイツは人口増加で住める場所が減っていたと考えられています。

土地が限られていたため、長男のみが財産などの権利を相続していたのだとか。長男以外は農奴となって、貧しい毎日を送っていたと考えられています。こういった背景から、自分たちの土地を求めて長男以外は街を出て、新天地を求めた可能性があるのです。

その後は黒死病(ペスト)で人口バランス改善?

ハーメルンの笛吹き男の真相は、当時のドイツの様々な問題が反映された物語だったというのが真相かもしれません。ちなみに、人口増加問題は黒死病(ペスト)が大流行したことで、皮肉にも解決してしまうのです。

黒死病(ペスト)による被害は凄まじく、当時の人口グラフが激しく変動してしまうほどだったとのこと。当時は黒死病(ペスト)に関する絵画も多く遺されており、人々への影響の大きさも感じることが出来るのです。

黒死病(ペスト)とは

ペストは14世紀に大流行した伝染病で、19世紀末にアレクサンドル・イェルサンや北里柴三郎が原因菌を突き止めるまで不治の病と考えられていました。治療が行われない場合、ペストは死亡率が60%から90%に達する怖い病気なのです。

ペストが黒死病と言われている理由は、感染者の皮膚が内出血によって紫黒色になるためです。当時の人からすれば、人がどんどん薄黒くなっていて死ぬ姿は恐怖以外の何物でも無かったでしょう。

かつては黒死病と言われたペストですが、完全に消滅したわけではありません。2004年から2015年の間に世界で56,734名が感染し、4,651名が死亡しています。死亡率は約8%となっており、黒死病(ペスト)に関する恐怖は続いています。

ハーメルンの笛吹き男の正体は謎のまま

怖い話であるハーメルンの笛吹き男ですが、未だに正体の真相ははっきりしていないままです。現在まで言われている正体の真相に関する噂を調査しました。また、作家の阿部謹也による正体の真相の謎も合わせて紹介します。

子供たちがついて行った笛吹き男の正体とは

子供たちが笛吹き男についていった理由は黒死病(ペスト)が関係しているという説がありますが、そもそもこの男は何者だったのでしょうか?

笛吹き男の正体は小児性愛者との声も

実話とも言われているハーメルンの笛吹き男ですが、1992年に出版されたウィリアム・マンチェスターの『炎のみに照らされた世界』では、正体としてある説を掲げています。それは笛吹き男は精神異常の小児性愛者だったというものです。

作者は様々な噂を書き記していますが、どれも根拠となる裏付けは無いのだとか。笛吹き男は自分の欲求のために子供たちを誘拐したという考えのようですが、出典などは無く、古くから伝えられている伝承とは大きくかけ離れてしまっています。

合唱書に記された笛吹き男の目撃証言

1384年に、ハーメルンのデカン・リューデという人物が所持していた合唱書「パッシオナーレ」に笛吹き男らしき人物が記されていたのだとか。笛吹き男の事件を目撃した人物によって、合唱書に当時の記録が記されていたというわけです。

デカン・リューデの祖母が執筆したと考えられていますが、合唱書は17世紀後半に失われてしまったとのこと。こういった笛吹き男に関する目撃証言は様々存在しています。そういった資料を集めていくことが、笛吹き男の真相に繋がっていくのかもしれません。

作家の阿部謹也も注目する笛吹き男の正体

作家の阿部謹也はハーメルンの笛吹き男に関する調査を行っている人物です。作家の阿部謹也によると、笛吹き男の正体ははっきりとした結論は出していません。ただし、ハーメルンの笛吹き男のストーリーと似たような出来事は実際に起きた実話としています。

ハーメルンの笛吹き男は上等な吹くを着た男としており、子供たちが行方不明になった理由として、植民説や遭難説を紹介しています。阿部謹也の様々な資料や調査から、より笛吹き男の正体の謎は深まってしまうと言えるかもしれません。

阿部謹也とは

阿部謹也は1935年2月19日生まれで2006年9月4日に亡くなっています。歴史学者であり、ドイツ中世史を研究し、一橋大学名誉教授でした。阿部謹也は「世間」という言葉をキーワードに社会を研究しており、その中にハーメルンの笛吹き男に関する書物も出版しています。

阿部謹也著書『ハーメルンの笛吹き男-伝説とその世界』

阿部謹也は『ハーメルンの笛吹き男-伝説とその世界』という本を出版しています。阿部謹也の歴史学者らしい、しっかりと信憑性のある資料から笛吹き男を調査しており、黒死病など複数の説を用いながら真相に迫ろうとしています。

ハーメルンの笛吹き男の謎は時代を超えて語り継がれる

ドイツ中世時代に起きたとされる、ハーメルンの笛吹き男について紹介しました。ハーメルンの笛吹き男は黒死病(ペスト)や十字軍遠征や拉致・誘拐など様々な説が存在します。噂を研究している人たちは、この出来事は実話だと考えている人も多いというのも分かりました。

130人近くの子供たちが行方不明になったというエピソードは、なんとも言えない怖い気分になるかもしれません。阿部謹也を始め、様々な人のハーメルンの笛吹き男に関する書物が出ているのでチェックするのもおすすめです。不思議な伝承をチェックしてみましょう!

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この記事のライター
浅倉恭介
ギターと野球と料理が好き。犬が飼いたい! もともとは接客業界で働いてました その後は保育業界に。 ロ...

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